中小企業の多角化で失敗する5パターン

多角化の失敗は「アイデア不足」ではなく、ほぼ例外なく資金・人材・営業の設計ミスで起きます。

結論はシンプルで、多角化は“当てにいく挑戦”ではなく“損失を限定する実験”として設計すべきです。

この記事では、現場で繰り返される失敗の5パターンと、今日から打てる対策をまとめます。

 

失敗パターン1:資金繰りを読まず「先に固定費」を増やす

よくあるのが、店舗・設備・人件費を先に積み上げ、売上が立つ前に資金が尽きるケースです。中小企業の多角化は、倒産リスクを常に背負います。対策は、投資の前に月次の赤字上限(燃料タンク)を決めること。運転資金を含めた手元資金から逆算し、「最悪でも何カ月耐えられるか」を数字で握る。さらに損益分岐点と回収期限を先に置き、超えたら縮小・撤退できる契約や支出形態(変動費化etc)に寄せるのが鉄則です。

 

失敗パターン2:既存事業の稼ぐ力を削ってしまう

多角化のために主力の営業や現場が兼務になり、納期遅延・品質低下・クレーム増加で主力が弱る。これは最悪の負け方です。会社の現金を生むのは主力事業なので、ここを落とすと新規に回すリソースが消えます。対策は、既存事業を「守る仕事」と「伸ばす仕事」に分け、守る側のKPI(粗利・納期・不良率)を先に固定すること。新規は“余力”でやるのではなく、既存を守る設計の上に乗せる必要があります。

 

失敗パターン3:「できること起点」で市場を選び、売れない

技術がある、設備が空いている、購入先がいそう。こうした内向きの理由で始めると、結局「誰が何に困っていて、なぜ今買うのか」という商売の本質が弱くなります。売れない多角化は、ほぼここが原因です。対策は、最初に顧客の未充足ニーズを言語化すること。「既存顧客が今、何に時間・不安・コストを払っているか」を聞き、困りごとを“現金に換わる課題”に絞る。商品はその後で十分です。

 

失敗パターン4:営業が属人化し「売上が再現しない」

新規事業は最初、社長やエースが売ってしまいがちです。その結果、売れる理由が言語化されず、担当を増やせず、売上が伸びません。対策は、初期から営業を「仕組み」として設計すること。具体的には、誰に・何を・いくらで・何日以内に・どの導線で売るかを決め、見積もり前のヒアリング項目や提案テンプレを整える。成功している会社は、商品とともに営業の型を作っています。

 

失敗パターン5:撤退できず、赤字事業を“飼い続ける”

多角化で一番多い事故はこれです。「ここまでやったから」「社員が頑張っているから」と情で続け、赤字が常態化します。対策は、開始前に撤退基準を決めること。例えば「粗利率◯%未満が3カ月続いたら停止」「受注単価が◯円に届かなければ再設計しそれでも改善しなければ停止」など、数字で判断する。撤退は失敗ではなく、学習コストの回収です。

 

まとめ:多角化の勝敗は“当てる力”より“死なない設計”

  • 失敗はだいたい資金・人材・営業の設計ミスで起きる
  • 固定費先行は危険。赤字上限・回収期限・損益分岐点を先に置く
  • 既存事業を削ると詰む。主力を守るKPIを固定してから新規へ
  • 市場は「できること」ではなく顧客の未充足ニーズで選ぶ
  • 営業の型撤退基準がない多角化は、高確率で事故る

経営者に期待する行動は明確です。

今週中に、多角化案件を1つ選び、

①月次赤字上限

②既存事業を守るKPI

③ターゲット顧客の未充足ニーズ

④営業の型(導線・提案テンプレ)

⑤撤退基準

——この5点を紙1枚に書いてください。多角化は勇気よりも、設計の精度で勝てます。

 

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